【D】上表を見ると、中国向け輸出量は2003年(32.5万トン)に比べ2004年(16.3万トン)と2005年(5.2万トン)が大幅に減少している。これは2004年の春に日本から輸入した廃プラスチックに異なる廃棄物が混入していたため、国家質検総局が同年5月7日から日本からの廃プラスチック輸入を禁止したことに起因する。当該輸入禁止措置は2005年9月20日に解除されるまで16カ月間続いた。これに対して同時期の香港向け輸出量は2003年(30.1万トン)から2004年(58.7万トン)、2005年(89.9万トン)と急増し、2008年(77.9万トン)までは中国向け輸出量を上回る状態が続いた。これは中国の輸入禁止に対応して、日本から輸出される廃プラスチックが香港を経由して中国へ流入したことを意味している。
【E】2009年以降は中国向け輸出量が香港向けを上回り、最盛期の2012年と2013年には中国向け輸出量が105万トンを超えて、香港向けの2倍となった。但し、中国向けと香港向けの輸出量を合計すると、2012年:151.9万トン、2013年:145.4万トン、2014年:146.1万トンとほぼ同水準で推移している。これは、中国と香港が廃プラスチックの輸出市場として一体化していることを示していると言える。中国向けと香港向けの輸出量の合計は、2015年:137.7万トン、2016年:129.6万トンであったものが、2017年の11月までの累計は99.1万トンと激減し、恐らく2018年にはさらに半減するものと予想される。
日本のみならず…
廃プラスチックの輸入禁止に伴い、中国は国内における廃プラスチックの回収率を向上させると同時に再資源化を強化する対応を急ぐものと思われるが、上述したように中国向け廃プラスチックの実質的な最大輸出国である日本ならびに日本の輸出業者が被る痛手は極めて大きいと言える。年間130万~140万トンの廃プラスチックの市場を失い、600億円以上の取引を失うことになるのである。これだけの量の廃プラスチックを中国に代わって受け入れ可能な市場はおいそれと見つからない。日本は代替市場を探す、国内工場で廃プラスチックをペレット化して中国へ輸出する、発電焼却を主体とするサーマルリサイクル化による処理で対応することになるが、年間130万~140万トンの廃プラスチックは巨大である。
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