小長江が青島市福祉園に収容され、小長江が注目される発端を造った王青偉が彼をチェス養成クラスに参加させた上で誕生日を祝ってくれたということで、中国メディアの報道はハッピーエンドの美談で終わっている。果たしてメディアとしてそれで良いのだろうか。

誰のための最善策か

 2017年12月20日付の「新華網(ネット)」は、中国政府“公安部”から得た情報として、2010年11月1日に行われた“第6次人口普査(第6回国勢調査)”を通じて判明した1300万人余りの“無戸口人口(無戸籍人口)”の問題は、基本的に解決されたと報じた。これは、2015年12月9日に,中国共産党中央委員会の“全面深化改革領導小組(改革の全面深化指導グループ)”第19回会議で採択した『無戸籍人口の戸籍登録問題解決に関する意見』に基づいて、無戸籍人口に新たな戸籍登録を行った結果とされる。

 しかし、無戸籍人口が1300万人余りというのは推計であり、専門家によれば、その実数は3000万人とも5000万人とも言われていて、依然として無戸籍人口は大量に残存しているものと思われる。さらに、小長江のように父親が無戸籍(母親が無戸籍かどうかは不明だが)である子供は、父親が死亡や行方不明、あるいは家族離散により、依然として無⼾籍のまま放置されている可能性が⾼い。

 小長江の場合は、王青偉という奇特な人物が年端もいかない子供による宅配荷物の配達に不審を抱いたことが発端で道が開けたが、他の人々は配達を行う小長江に何も違和感を覚えなかったのである。それは中国には小長江のような子供の労働者が依然として当たり前のように存在していることを意味しているのかもしれない。毎度繰り返しになるが、中国は世界第2位の経済大国である。その経済大国で霧氷少年や宅配少年の出現が大々的に報じられることは、中国人が最も恐れる“丟面子(面子を失う)”の事態なのではないだろうか。

 考えてみれば、報道管制がますます厳しくなる中国では、霧氷少年や宅配少年の事件を美談で終わらせ、そこに隠された問題点を追究しないことが、中国でメディアが生き残るための最善の策なのかもしれない。