さて、選挙前日の1月15日の夜、韓国の芸能事務所「JYPエンターテインメント」(以下「JYP」)が、同事務所所属の女性アイドルグループ「Twice」のメンバーである台湾出身の“周子瑜(チョウ・ツウィ)”の動画をYouTubeに配信した。Twiceは2015年5月に開始されたオーディション番組を通じて、同年7月に選出された9人で編成された女性アイドルグループで、韓国人5人、日本人3人(モモ、サナ、ミナ)と台湾出身の周子瑜(芸名:ツウィ<Tzuyu>)で構成されている。

 周子瑜は1999年6月14日生まれの16歳、出身は台湾の“台南市”。彼女は13歳で故郷の台南市を離れて韓国へ渡り、タレント養成所で学んだ後に、16歳でTwiceの最年少メンバーとして選抜されたのだった。また、周子瑜は米国の映画情報サイト「TC Candler」が発表した「2015世界で最も美しい顔100人」の第13位にランクされている。ちなみに、これにランクされている日本人は4人(石原さとみ、桐谷美玲、島崎遥香、佐々木希)で、その最高は第19位の石原さとみである。

「台湾独立支持者は閉め出せ」

 ところで、Twiceは結成された2015年7月から芸能活動を開始した。そうした活動の中で、あるテレビ局のバラエティ番組に出演した際に、周子瑜は自分が台湾出身であることを示す“中華民国”の国旗である“青天白日満地紅旗”と韓国の“大韓民国旗”の2本の小旗を手にして、小さく振りながら歌ったことがあった。当然ながら、その時、他のメンバーも大韓民国旗と日本国旗の小旗をそれぞれ手にしていたはずだが、この青天白日満地紅旗がいけなかった。

 2016年1月8日、台湾出身ながら現在は中国大陸で活躍する男性歌手“黄安”がインターネットの“微博(マイクロブログ)”に「テレビ番組の中で台湾の青天白日満地紅旗を打ち振る周子瑜は台湾独立支持者だ」と告発した。この告発を見た中国のネットユーザーたちは、台湾独立支持者はけしからんとして、そんな周子瑜がメンバーとなっているTwiceには中国で芸能活動をさせるなとか、Twiceを中国から閉め出せと騒ぎだしたのだった。

 こうした中国のネットユーザーの動きに慌てたのがJYPだった。大事な顧客である中国からTwiceが締め出されるようなことになれば、稼ぎが大幅に減る。それにはどうすればよいのか。Twiceのメンバーに出身国の国旗を持たせることは、恐らくJYPが考えたものだろうが、そんなことは構っていられなかった。そこで、わずか16歳の周子瑜に「言うことを聞かないならTwiceを辞めてもらうしかない」と因果を含ませて、周子瑜の動画を撮影したのだろう。

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