飲食店やコンビニなど、日本の至る所でアルバイトに励む中国人留学生を目にする機会はすこぶる多い。独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が2016年3月に発表した『平成27年度外国人留学生在籍状況調査結果』によれば、2015年(平成27年)に日本に滞在した外国人留学生の総数が20万8379人であるのに対して、中国人留学生は9万4111人で、実に全体の45.2%を占め、国別で第1位となっている。第2位のベトナム人留学生が3万8882人で18.2%であるから、中国人留学生の多さは突出している。
中国人留学生126万人、私費が9割
12月12日に“中国社会科学院文献出版社”から出版された『中国留学発展報告(2016)』によれば、2015年に中国は海外留学生が最も多い国になったという。同書は“中国与全球化智庫(中国グローバル化研究センター、略称:CCG)”が、2015年における中国の海外留学の動向を研究した結果を取りまとめた報告書である。報告書の要点は以下の通り。
【1】2015年における中国の海外留学生は126万人で、全世界の海外留学生総数の25%を占めた。これは、世界中の海外留学生の4人に1人が中国からの留学生であることを意味する。一方、2015年における中国で留学中の海外留学生は39.76万人で、全世界の海外留学生総数の8%を占めた。また、2015年に米国に留学中の海外留学生は120万人で、全世界の海外留学生総数の24%を占めた。2014年から2015年の修学期間中に米国から海外へ留学した学生は32万人前後で世界の海外留学生総数の6%を占めた。
【2】2015年までのところ、中国は米国、カナダ、オーストラリアなど英語圏の諸国にとって留学生の最大供給源であると同時に、日本、韓国、シンガポールなどの中国語文化圏の諸国にとっても留学生の最大供給源である。統計によれば、中国の留学生が米国とカナダ両国の留学生総数に占める比率は30%を超えている。
【3】日本、韓国、シンガポールを代表とする中国語の影響を受けている諸国においても、中国の留学生は留学生総数の最多を占めている。韓国を例に挙げると、2015年において韓国に留学している中国の留学生は留学生総数の62%を占めている。
【4】留学費用を誰が負担しているかという観点から見ると、2015年における中国の国家および機関・団体から派遣された公費留学生が4.19万人であるのに対して、私費留学生は48.18万人に上り、私費留学の比率は92%に達している。私費留学の比率は、2001年から常に89%以上を維持しており、最近5年間ではずっと92%を保っている。これは中国において留学がますます一般的なものとなり、庶民でも留学が可能になったことを意味している。
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