世界のナレッジをガイドにまとめて出版

 また、エグゼクティブ向けのプロジェクトマネジメントのガイドを文書として用意している。組織能力を高めることについては、能力開発フレームワークの文書があり、人事担当のエグゼクティブはぜひ読んでほしい。

 PMIはプロジェクトマネジメントのベストプラクティスをまとめたPMBOK ガイド(プロジェクトマネジメント知識体系ガイド)と呼ぶ文書をかねてより提供してきた。これはプロジェクトマネジャやプロジェクトメンバー向けであり、ガイドに沿うことで、日本で実施されるプロジェクトでも、世界各国で実施されるプロジェクトでも、同じ言葉を使ってマネジメントできる。

 しかし今日お話ししてきたようにプロジェクトマネジメントを成功させるためにはまだまだ課題があり、そのニーズに応えるために、PMBOKガイド以外の文書を提供するようにしている。

 例えばプロジェクト失敗の一番の原因として挙げられるのはスコープクリープだが、二番目はプロジェクトで達成すべき要件の定義が曖昧なことである。この課題に対処するため、PMIはビジネスアナリシスのガイドを取りまとめて発表した。

PMBOKガイド、能力開発、ビジネスアナリシス、そのほか、プログラムポートフォリオ、アジャイルプラクティス、組織ガイド、実にたくさんのガイドがある。どれから読み始めればよいのか。

 全部読んで欲しい(笑)。組織の各側面に合わせた知識を提供できるようにしているので、自分の役割と能力のレベルに合わせたガイドから読んでいけると思う。プロジェクトマネジメントを推進するためにプロジェクトマネジメントオフィス(PMO)と呼ぶグループを置く組織が増えている。PMOが各ガイドの特色を理解し、誰がどれを読めばプロジェクトマネジメントの組織能力を上げることができるかと考え、ナビゲートしている組織もある。

 すべてのガイドをプロジェクトマネジャが読めば得られるものは多い。ただし、すべてをマスターしなければならないわけではない。例えばビジネスアナリシスのプロフェッショナルがチームの中にいれば、その人が要件定義を支援すればよい。

なぜ世界で最も成功したNPOになったのか

会員数、事業規模、影響力などの面でPMIは世界で最も成功したNPOだと言われている。成功したのは、資格試験を実施するだけにとどまらず、資格を維持していると、プロジェクトマネジメント関連の仕事を斡旋してもらえるエコシステムを作ったからだとみている。このサポートは今後も続けるのか。

 PMIが成功し、影響力を高めることができた理由は色々あると思うが何と言っても、すべての戦略的な変革がプロジェクトによって実行されることが大きい。あらゆる組織にプロジェクトマネジメントのニーズがある。

 ニーズに応え、我々は変革を実行できる人間を育て、プロジェクトマネジメントプロフェッショナル(PMP)と呼ぶ資格を取得した後もサポートする活動をしてきた。それを続けるかどうか、という質問に答えると、最初に述べた通り、我々は戦略を見直しているところだが、今後もそのサポートは非常に意義があると信じ、拡大していく。

 成功の要因として強調しておきたいのは、PMIには世界200地域に300ほどの支部があることだ。各支部はボランティアによって運営されており、地域の事情に合わせてPMPをサポートしている。PMI日本支部は今年、創設20周年を迎えた。

 我々の成功はメンバー個人と組織の両方を支援する活動によって成り立ってきた。「アイデアを現実にできる力を人々に(Empower people to make ideas a reality)」というビジョンのもと、これからもPMP、そしてエグゼクティブをサポートし、プロジェクトマネジメントの価値を伝えていきたい。