シンギュラリティは幻
とにかく驚いたので、あれこれ考え、ITの専門誌日経コンピュータの2018年1月4日号(新年号)に『シンギュラリティは幻、発案の一助にはなる』という記事を書いた。
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記事の冒頭に付けた要約を再掲する。
- 「シンギュラリティ」はビジョン(幻)である。
- AI(人工知能)が人間を超える日は来ない。
- 新しいことを考えるきっかけにはなる。
食事をご一緒した経営者のことが頭にあり、錬金術や永久機関とは書きにくくビジョンと呼んでみた。実現しなくてもビジョンには意義がある。それは何かと考えた末、新たな構想(アイデア)を得る一助になるかもしれないと思い、そう書いた。
実は日経コンピュータ誌にはもっと前に『人工知能は仕事を奪える だが人間を超えられない』という一文を書いていた(2016年5月12日号に掲載)。
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機械学習など使えるAIは使えるところに使っていけばよい。コンピュータの利用と同様に人員を削減できる領域はある。ただ、だからといってAIが人間を超越する日は来ない、という内容であった。
だが、尊敬する経営者の発言に驚かされたので再度、ほぼ同じ主旨の記事を書いた。
「強いAI」は錬金術
驚きは続く。日本を代表するIT企業であるはずの富士通で主席エバンジェリストを務める中山五輪男氏がAIとシンギュラリティについて語った講演録を今年になって見た。
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中山氏は「私たち人類はこれまで経験したことがないような最大のパラダイムシフトを経験することになる(中略)それを人々は『シンギュラリティ』と呼びます」と切り出し、「様々な要素が重なりあって、このようなシンギュラリティは実現されると考えられますが、その中で最も重要な役割を担うのがAI」と続け、富士通が支援したAI事例を紹介していた。
「AIのことなら富士通にお任せください」という話の枕に過ぎないと言えばそれまでだが来場者はどう受けとめたのだろう。「シンギュラリティというのはなかなか凄い」と思った人はいたのだろうか。
驚きはまだまだ続く。今年3月、別の経営者と会食した。これまた数年ぶりにお目にかかったので近況をうかがうと、ここ2年ほどAI関連の洋書や英語の論文を読みあさり、本を書く準備をしているという。
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