腹を括って秘密を守り抜くことを考えなさい

ミツハシ:女性作家や女性漫画家と男性編集者が付き合うなんていうのもよく聞く話ですしね。

シマジ:さっきの大学教授と違って、こんなのは気にする必要はない。家にこもって仕事をする作家たちは意外と異性との出会いがなく、美人編集者との浮気願望を持つ男性作家は珍しくない。編集者の側も作家の作品を愛している場合は、その作家にもっと近づきたいと思うし、肌を重ねたいとまで思ったとしても別に不思議ではない。

 このケースでは、作家も相談者も配偶者とはセックスレスかもしれないな。そんな2人が、共犯者として秘密を墓場に持っていけるのであれば、いまは関係を愉しめばいい。その上で、秘密の関係が作家の活力となり、創作の源になるならなおいい。作家から新しい才能を引っ張り出してベストセラーを書かせることができれば編集者としてしてやったりだ。

ミツハシ:文字通りしてやったりですね。

シマジ:相談者はおそらく作家の奥さんのこともよく知っていてお世話になっているんだろうな。だから罪悪感を覚える。だが、もう相談者は作家と寝てしまった。つまりルビコンを渡ってしまったんだよ。だとしたら罪悪感は邪魔だ。罪悪感ゆえに言動が不自然になれば、奥さんに怪しまれる。作家とともに奥さんと会っているときも涼しい顔で冗談が言えるくらい図太い神経を養わないといけないな。と同時に、奥さんだけでなく誰一人として、この関係がバレないように最大限の智恵と細心の注意を払って、用心深く行動しなくてはいけない。

 相談者の不倫は、俺に言わせれば釣り堀の釣りに似たあまり美しくない不倫だが、そうなった以上は腹を括って秘密を守り抜くことを考えなさい。2人の関係が腐臭を発しないよう細心の注意を払うように。そしていつでも乾いた関係に戻せるように相談者は恋情を引きずらない覚悟を固めておきなさい。

 こういう愛妻家タイプは一度不倫をするとたいてい同じことを繰り返すから、これから女出入りが激しくなるんじゃないかな。そうなればきれいに別れる機会も意外と早く巡ってくるかもしれない。一緒に山を降りて仕事だけの関係に戻れる日までくれぐれも注意深くふるまうように。

本記事は、 nikkei BPnet から転載したものです