こういう問題は夫婦二人で解決すべきもの

ミツハシ:「私はこのまま結婚生活を続けていけるのでしょうか」。この相談者の魂の叫びにシマジさんはどう答えますか。

シマジ:まあ、ちょっと様子を見たらどうだ。相談者のカミさんは妊娠しているようだから、これからしばらくは酒を飲めない。今後、子供を生んだら、当分は子育てでやはり酒を飲む機会は激減するだろう。小さな子供を育てながら仕事をするとして、保育園の送り迎えなんかもあるだろうから、これまでのように会社の飲み会に夜遅くまで付き合うわけにはいかない。出産・育児の過程で母性が強まり、不特定多数の男とキスするなんて汚らしいと思うようになるかもしれない。奔放な女が子供を授かることで賢母に変わるというケースはたまにあるからね。急いで結論を出さなくてもいいんじゃないか。

 それから、余計なアドバイスかもしれないが、生まれてくる子供のDNA鑑定をしようなんてことは考えないほうがいい。それがカミさんの知るところとなれば、夫婦の間にひびが入る。秘密裏に鑑定ができ、その結果がシロだったとしても、妻を疑い鑑定をしたという事実は重いおりとなって相談者の心の中に残る。それは今後の結婚生活を重苦しいものにすると思うね。

 これも何度も言ってきたが、悩んだらパラダイムを変えるんだ。会社の男たちと愉しい酒を飲めるカミさんの良い部分は何かと考えればいい。自分のカミさんが職場で敬遠されているより、好かれているほうがずっといいだろう。

 それに不特定多数の男たちとキスをするカミさんは、相談者が不特定多数の女たちとキスをしても何も言わないはずだ。そこで文句を言うようなら、改めてカミさんに行動を変えてもらう話し合いのきっかけになる。まあ、たぶん彼女はキスくらいなんとも思っていないだろうから、相談者も遠慮しなくてよろしい。

ミツハシ:相談者は不特定多数の女性とキスをしたいわけでは……。

シマジ:ことによるとキス以上のことにも目を瞑ってくれるかもしれない。

 真面目に言えば、もっとカミさんと話をすることだね。3年付き合っていていまさらカミさんのキス魔を知るということ自体が会話不足なんじゃないのか。こういう問題は夫婦二人で解決すべきもので、カミさんの食事相手の上司や、上司の上司に連絡をするというのはやはり筋が違うと思う。男女が逆の立場なら分かると思うが、これはカミさんの職場の中での立場を危うくする行為でもある。自分の価値観や倫理観と合わないことを正すために猪突猛進してしまうところに俺はちょっと危うさを感じるね。

 人生は深刻になってはいけない。もう少し肩の力を抜いて、心を広く持ってほしい。「そんなにキスがしたいなら、毎日俺に100回キスするのがノルマだ」とでも言って二人で外に酒を飲みに行ったらどうだ。周りのお客にキスを見せつけてもいいし、ここで不特定多数のお客にカミさんからのキスをプレゼントしてもいい。お店を選ばないと出入り禁止になるだろうが、スナックなんかだと名物カップルになれるだろう。それも夫婦の愉しいイタズラだよ。せっかく酒乱慈母観音と縁があって結婚したんだから、それをどう愉しむかを考えてもいいんじゃないかな。

本記事は、 nikkei BPnet から転載したものです