間違いなく相談者の父親はマザコンだろう

ミツハシ:でも、61歳にもなる息子を世話するおばあちゃんですよ。母子密着の匂いがしませんか。

シマジ:まあ、間違いなく相談者の父親はマザコンだろうな。そしておばあちゃんは61歳の息子が可愛くて仕方ないのだろう。息子を甘やかしていては困ったことになると頭では理解していても、海よりも広くて深い母性愛でついつい息子を守ってしまう。これも美しい親子関係の一つだね。

 相談者の母親は、おそらく夫のマザコン性を見抜いていたと思うね。母親から自立できない未成熟さに気づいていたんだよ。それに嫌気がさして離婚したんじゃないかな。相談者の母親は離婚後に大学院で学ぶような活動的で知的好奇心の強い女性だ。さっさと再婚しているようだから、女としての魅力も十分なのだろう。そしておそらく、父親は昔から少々無気力なところがあったんじゃないかな。それでも聡明でキビキビとした妻にハッパをかけられ、優しい母親に頭を撫でられ、何とか頑張ってきた。だが、離婚となって、男として突っ張って生きる根拠というか前提が崩れてしまった。それで本来の無気力さが前面に出てしまったんじゃないか。

 もしかしたら、おばあちゃんも、相談者の母親を憎んでいるかもしれない。母と息子が一緒になって、相談者の母への恨み言を口にしているかもしれない。さらに言えば、おばあちゃんは、そんな女から息子を取り戻すことができて、内心嬉々として息子の面倒を見ているのかもしれない。

ミツハシ:今日のシマジさんは随分と推理しますね。

シマジ:ちょっとこれに似た男を知っているものでね。

ミツハシ:でも、推理の通りだとしたら、喜んで息子の世話をしているおばあちゃんに「お父さんを自立させてほしい」と言っても、うまくいかない恐れがありますね。

シマジ:確かに話の持っていきようは難しいかもしれない。そうだ。料理教室に通わせるというのはどうだ。「おばあちゃんが元気なうちはいいけど、いつかはオヤジも自分で料理をしなければいけなくなるだろ。でも放っておいたらオヤジのことだからロクなものを食わないよ。ちゃんとバランスの取れた食事ができるように、いまのうちから料理を習うように言ってくれないかな」とでも言って、おばあちゃんの不安を煽っておばあちゃんの口から行動を促してもらおう。