好きになった女性は死んだ恋人を想い続けています

Q交際をしている女性に別れを告げられました。理由を聞いたところ、過去に交際していた男性と死別しており、その男性を忘れることができないとのことです。それ以来、友人としての付き合いになったのですが、彼女を幸せにしたいという思いは変わりません。時間が解決してくれるのを待つしかないとも思いますが、このままでいいのかという不安もあります。最強のライバルに勝つ妙案を授けていただけますと幸いです。

(28歳・男性)

ミツハシ:なるほど、これは手ごわい恋敵ですね。

シマジ:「もっとも永くつづく愛は、報われぬ愛である」というモームの言葉を彷彿とさせるな。この場合は、一旦は実った恋ではあるが、その相手がこの地上から姿を消してしまったわけで、その喪失感たるや大変なものだろう。相談者の想い人にとって、死別した恋人は永遠に優しく素敵なイケメンのままだ。決して彼女を傷つけるようなことはしないし、嘘をつくことも、約束を破ることもない。こりゃあ、最強の恋敵だな。いや、これは最強というより無敵だ。はっきり言って相談者に勝ち目はない。

ミツハシ:だから、諦めろとは言いませんよね。

シマジ:もちろんだ。こういうときはどうするか。ミツハシ高弟なら分かるだろう。

一緒に墓参りをして、一世一代の大芝居を打つんだ

ミツハシ:「パラダイムを変えなさい」ですよね。この場合だと、無敵の相手に勝とうなんて思うから八方ふさがりになる。ならば、負ければ道が開けるかもしれない。負けて勝つ方法ですね。うーん、どうすればいいだろう?

シマジ:分からないか? ミツハシはもっと修行が必要だな。答えは墓参りだよ。

ミツハシ:墓参りですか?

シマジ:キミの友人として、ぜひ亡くなったキミの恋人のお墓参りをさせてくれと頼むんだ。これは相談者の人生を左右するかもしれない一大事だ。もしかしたら彼女は嫌がるかもしれないが、何としても一緒に墓参りをするんだ。そのためなら、俺の名前を使ってもいい。「ぼくが私淑するある作家が、よい人生を歩むために、尊敬する人の墓にお参りしなさいと言っていてね。キミがそこまで愛した男性なら、間違いなく素晴らしい人のはずだ。ぜひ墓前で手を合わさせてほしい」と必死に頼むんだ。

 首尾よく一緒に墓参りができることになったら、一世一代の大芝居を打つ。大きな声で自分の名前を名乗り、墓に向かって恋敵がそこにいますがごとく話しかけるんだ。

 「○○さん、初めてお目にかかります。僕は彼女を心から愛しています。でも彼女の心はまだ○○さんにあります。亡くなってもなお彼女に愛され続けているあなたを、僕は嫉妬するより尊敬します。でも、そろそろ彼女の心を自由にしてあげてくれませんか。○○さんに約束します。僕はあなたの分まで彼女を大切にします。どうか、僕をあなたの後継者として認めてください」

 こう言ったら、しばし瞑目して墓からの声に耳を傾ける。そして彼女に振り返ってにっこり笑って、「僕には○○さんの答えが聞こえたけど、キミはどうだった」と尋ねるといいだろう。