イノベーションをどのような組織に任せるべきか

 そのことをよりよく理解するために、以下の<■図2>をご覧ください。これは、イノベーションのアイデアをどのような組織に任せるべきかを判断するために、横軸に「既存組織の価値基準との適合度」を、縦軸に「既存の仕事のプロセスとの適合度」を取った、「新ビジネスのための組織構造を考えるフレームワーク」です。

■図2 新ビジネスのための組織構造を考えるフレームワーク
(出典:クレイトン・クリステンセン著『イノベーションのジレンマ』240頁 図8.1をベースに筆者改訂)

 横軸の「既存(組織)の価値基準との適合度」は、事業に必要な資源が新しいプランの方に優先的に割り振られるかどうかに影響します。

 新しいビジネスのアイデアが既存組織の価値基準とうまく適合する場合、すなわち<■図2>の左側(領域Aや領域B)のビジネスであれば、資源がそのプランに優先的に割り当てられる可能性が高いため、既存の組織内に設計・開発・販売を任せることができるでしょう。

 逆に、既存組織の価値基準との適合性が低い製品やサービスの場合(右側の領域Cや領域Dのケース)には、既存組織内では優先度が低くなってしまい必要なときに必要な資源が割り当てられないため、別組織に任せないとうまくいかないでしょう。

 また、縦軸の「既存の仕事のプロセスとの適合度」とは、ある製品やサービスを開発する際の「仕事のプロセス=個人やチームが他の個人やチームと協調したり相互作用したりするやり方」がこれまで通りで良いかどうかということです。既存プロセスとの適合度が良好な(高い)場合(<■図2>の下側の領域Aや領域Cのケース)には、既存の機能的組織で開発を進めることができるでしょう。

 しかし、製品やサービスのアーキテクチャがまったく異なり、これまでの仕事のプロセスを大幅に変えなくてはならないような場合(<■図2>の上側の領域Bや領域Dのケース)には、独立性の高い新しい組織(重量級組織)で開発を進める必要があるでしょう。

 さて、ここまででご説明してきた議論はかなり抽象度が高いので、以下では仮想的なケースを用いながら、「どのようなタイプのイノベーションはどのような組織に任せるべきか」を理解していきましょう。