「完璧」よりも「必要十分」

■試験項目③顧客は製品やサービスをどう考えているか
[完璧である(0点)/優れている(5点)/必要にして十分である(10点)]

 この測定項目も前項同様、破壊度が高いほど配点が高くなっています。破壊的イノベーションの性質として、必要にして十分な性能の製品やサービスを、簡単な操作性や、どこでも利用できるポータブル性、安い価格などで提供することが挙げられます。「回転寿司」や「俺のイタリアン」、「ブックオフ」などは、いずれもこの条件に当てはまります。

適切な品質を低コストで

■試験項目④価格はどのようになるか?
[高価格(0点)/中程度(5点)/低価格(10点)]

 低価格で提供しても利益が出るためには、その製品やサービスを提供するためのコストが低いことが求められます。そして、低いコストで製品やサービスを提供するのは、実は「ハイテク」なのです。

 私は以前、完成車メーカーに部品を供給する部品メーカーの工場を訪問したことがあります。目の前には、トヨタに納品される車の部品が次々と流れていました。私は質問しました。

「どの車の部品を作るのが一番難しいですか?」

 そのとき、私は頭の中で、高級車レクサスの部品が仕上げなどの面で一番難しいのではないかと想像していました。しかし、返ってきた答えは予想に反していました。

 「カローラの部品が一番難しいです。レクサスの部品を作るのにはある程度費用をかけられるので、言わばどうにでもなるのです。しかし、カローラの部品は難しい。何しろ、コストの制約がキツイので、そのなかで例えばこのような「曲面」を出すのは本当に難しいです。」

 エンジニアの中には、性能が高い製品を作るのがハイテクだと考えている方も多いようですが、適切な品質のものを安く作るのは、それよりももっとハイテクなのかも知れません。

破壊的ビジネスモデルの実行には、価値基準やプロセスの変更が必要

■試験項目⑤ビジネスモデルはどのようになるか?
[従来通り(0点)/多少の変更(5点)/従来とは根本的に異なる(10点)]

 この質問は、既存企業向けの質問です。ベンチャー企業で、専ら破壊的ビジネスモデルを実行するために新たに設立されたのであれば、主たる事業自体が破壊的ビジネスモデルとなりますので、新規の破壊的事業を行うためのビジネスモデルは「従来通り」となるでしょう。

 しかし、すでにあるビジネスを行っている企業にとって、破壊的ビジネスモデルを実行するためには、組織の価値基準や仕事を進めるプロセスを大幅に変更しなければならない場合が多いです。そのことこそが、既存企業の参入を妨げるのです。このような場合、破壊的なビジネスモデルをうまく実行するためには、価値基準やプロセスの異なる別組織を立ち上げる必要が生じるでしょう。