「常識的ではない選択肢」の配点の方が高い

 ご注目いただきたいのは、常識的な(「持続的イノベーション」の)選択肢よりも、そうではない(「破壊的イノベーション」の)選択肢の配点の方が高くなっている点です。

 例えば測定項目①の「初年度のターゲット」では、マスマーケットを狙うものは0点、大規模市場を狙うものは5点、ニッチ市場を狙うものは10点──と、常識的な回答とは逆の配点になっています。

「ニッチ市場」を狙う

■試験項目①初年度のターゲットは?
[マス市場(0点)/大規模市場(5点)/ニッチ市場(10点)]

 通常、企業においてビジネスプランの評価が行われる際には、市場規模は大きいほどよいとされます。私の勤務する関西学院大学ビジネススクールに来ている大手電機メーカーの社員の方に聞くと、その会社では新規事業の提案をすると、すぐに「売上は100億行くのか?」と問い詰められるそうです。つまり、売上高が100億円以上見込めるような大市場向けのプランでないと、提案が通る可能性が低いのだそうです。

 しかし、よく考えてみて下さい。売上が100億円以上も見込めるような市場は、他のプレーヤーもまた参入を考える強いインセンティブがあります。そうなると、一見「ブルーオーシャン」に見えたその市場も、強力なライバルの参入が相次ぎ、すぐに血で血を洗う「レッドオーシャン」になってしまうでしょう。そうなると、そこで起きるのは、強くて大きいものが勝つという弱肉強食の地獄絵です。

 典型的な例が、エコカーの市場でしょう。自動車の市場は大きいため、エコカーに参入すれば、一見、大きな売上が期待できるように思えます。しかし、そこでは研究開発費に年間1兆円を使うトヨタをはじめ、世界のビッグ・プレーヤー達が鎬を削っているのです。体力面で劣る小さな企業が参入しても、勝てる見込みは薄いでしょう。

 逆に、ニッチ市場を目指すのであれば、大きなプレーヤー達はコスト構造上、参入したくても出来ない可能性が高いため、その市場を独占することすら可能かもしれません。

「新市場型」のイノベーションを重視する

■試験項目②顧客はターゲットの「用事(ジョブ)」を
どう片づけたいと考えているか?

[もっとうまく片づけたいと考えている(0点)/もっと安く片づけたいと考えている(5点)/もっと容易に片づけたいと考えている(10点)]

 この質問項目は、イノベーションの種類を判別する質問です。もし顧客がターゲットとしている「用事」を「もっとうまく」片づけたいと考えており、それを叶えるようなアイデアである場合、それは、既にある製品やサービスを磨き上げて価値を高める「持続的イノベーション」のアイデアだと言えます。例えば、顧客がもっと美味しいご飯を食べたいと考えており、そのために10万円の炊飯器を開発するというアイデアなら、それは持続的イノベーションと言えるでしょう。

 顧客がある「用事」を「もっと安く」片づけたいと考えているなら、それはローエンド型(低価格型)の「破壊的イノベーション」であると言えるでしょう。例えば、お湯を沸かしたいという用事をもっと安く片づけられる「ティファール」の早沸き電気ケトルや、髪を切りたいという用事をもっと安く叶えられる「QBハウス」がそれに当たります。

 また、もし顧客がある「用事」をもっと容易に片づけたいと考えているなら、それは新市場型の破壊的イノベーションである可能性が高いです。ゲームセンターまで出かけなくてもゲームという用事が叶えられる「ファミリーコンピュータ」、コンビニまで出かけなくてもコピーを取るという用事が片づけられるキヤノンの「ファミリーコピア」、車を持たなくても子供の送り迎えや重いものを運ぶといった用事が叶えられるパーク24のカーシェアリング「タイムズ カー プラス」などがその例です。