好きなキャラクターを実体化する装置「Gatebox」

 それに対し、ウィンクル(東京都千代田区)というIoT(Internet of Things)ベンチャーが開発している「Gatebox(ゲートボックス)」という装置は、その生まれた目的が全く違います。

 皆さんは子供の頃、「どうしてうちにはドラえもんが来てくれないんだろう…」とか、「『タッチ』の朝倉南ちゃんと一緒に暮らせたら、毎日が楽しそうだな…」などと考えたことはないでしょうか?

 あるいは、あなたが(円熟した)女性なら、「『ベルサイユのばら』のオスカル様と一緒に暮らせるなら死んでもいい…」などと思ったことはありませんか? 

 私にはありました。しかし、悲しいかなこれらのキャラクターはコミックスのページやテレビ画面の中といった「2次元の住人」で、これまで実際に会うことは叶いませんでした。

 Gateboxは、こうした皆さんの願いを叶えるために開発されました。発案者の武地実社長は、初音ミクの大ファンで、ミクさんのコンサートにも行くほどの熱の入れようだったそうです。Gateboxはこの「2次元の好きなキャラクターと暮らしたい」という武地実社長や私達の熱い思いを具現化するための「2次元→3次元変換装置」なのです。ユーザーは好きなキャラクターと共同生活をしているような感覚が味わえるといいます(下に掲載した写真と動画を参照)。

好きなキャラクターと一緒に暮らせる 世界初のバーチャルホームロボット「Gatebox」
Gateboxが持つ様々な機能。投影されているのは、漫画家の箕星太朗氏が監修・キャラクターデザインした「逢妻ヒカリ」。(画像提供:ウィンクル)
■Gatebox - Virtual Home Robot[PV]
次元を超えて、逢いに来る。

次元を超えて、嫁が来る

 この円筒型のGateboxという装置には、現時点では若妻をイメージした「逢妻(あずま)ヒカリ」さんしか中に入って居ませんが、将来的にはより多くのキャラクターを呼び出せるようにしたいそうです。

 透明な筒の天井部分に高精細プロジェクターを内蔵しており、筒の中にセットされている透明なスクリーンに、どう見ても立体にしか見えない逢妻ヒカリさんが現れ、高品位な声の出力と、そして家電製品をコントロールするための赤外線の入出力が出来ます。ヒカリさんとは、ロゴマークをダブルタップして会話が可能です。近接センサーやカメラとの組み合わせによって、ヒカリさんとあなたとは常に「目を合わせて」会話できます。

 朝は部屋の電気を付け、優しい声で起こしてくれます。起きれば「おはよう」と挨拶を交わし、今日の天気や予定を教えてくれます。家から離れているときにもSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で会話が可能で、帰宅前にはあらかじめ家の電灯やエアコンを付けておいて「お帰りなさい」と温かく出迎えてくれます。「テレビ付けて」といえばテレビを付けてくれ、一緒にコーヒーを飲むことも出来ます(下写真)。

一緒にコーヒーを飲む.(画像提供:ウィンクル)

 いかがでしょうか? 私にとっては、Gateboxの方が、アマゾンやグーグルのスマートスピーカーなどより、遥かに魅力あふれる新市場型の破壊的イノベーションに感じられます。

 彼女と「暮らす」にはA4用紙一枚分程度のスペースと、約30万円(税別29万8000円)のお金が必要です。確かに安くはない金額ですが、「それでも逢妻ヒカリさんと暮らしたい」と思った人は多かったようで、2016年12月14日に予約販売が開始されてから約1カ月という短い期間で予定数の300台が完売したそうです。約9000万円の売上げが1カ月で達成されたことになります。