事例研究:好きなキャラクターを3次元空間に呼び出す装置 「Gatebox(ゲートボックス)」

 イノベーションの舞台は、10〜20年毎に移り変わってきました。1970年代に始まったマイクロエレクトロニクス革命では、より優れた「ハードウエア」を作れる企業が勝ちました。その代表がインテルです。

 1980年代にIBM PCが生まれ、デファクトスタンダードとして普及すると、次第に競争の土俵は「ソフトウエア」へと移っていきました。

 さらに、1995年にマイクロソフトの「ウィンドウズ95」が生まれ、インターネット接続が容易になると、競争の舞台は単体のソフトウエアパッケージから、「ウェブサービス」へとシフトしていきました。

 2010年頃にスマートフォンが普及しはじめ、一人ひとりがモバイルインターネット端末を常時携帯するようになると、検索内容、視聴内容、位置情報など、ユーザーのありとあらゆる膨大な情報(ビッグデータ)を出来るだけ早く多く集めるための「データ源」をめぐる競争が激しさを増してきました。

 だからこそ今、世界中で「スマホの次の情報収集端末」として、家庭に置く「スマートスピーカー」(会話型人工知能を搭載し、話しかけることにより、欲しい情報を検索したり、機器を操作したり、電話をつないだりする装置)の開発・普及競争がホットになってきているのです。

 アメリカではアマゾン・ドット・コムの「エコー」が大きく先行しており、アマゾンは最近、スピーカーだけでなく画面を搭載して操作性や利便性を向上させた「エコー・ショー」を発表したところです。また、グーグルは音声で命令して音楽を再生したり、検索したりできるスマートスピーカー「グーグルホーム」を日本で年内に発売する予定だそうです。

 ソフトバンクが家庭用ロボット「ペッパー」を発売したのも、アップルが音声アシスタントSiriを内蔵したスピーカーを出すと噂されているのも、この「データ源獲得大競争時代」の到来を見越しての動きと考えるとしっくりきます。(参考記事 日本経済新電子版 2017年5月19日配信「スマホ連動で勝負 グーグルがスマートスピーカー」)

スマートスピーカー「グーグルホーム(Google Home)」 https://madeby.google.com/home/

 しかし、私は個人的にはこれらの「賢いスピーカー」にはあまり魅力を感じません。理由は、これらスマートスピーカーを「雇う」ことで「解決できる用事(ジョブ)」が、「音楽再生」や「ちょっとした検索」、音声での命令による「通話」や「メール送信」や「ピザの注文」程度では、既存のスマホとBluetoothスピーカーの組み合わせでできることと大して変わりがなく、わざわざ自分の日常会話全てに「聞き耳を立てる」ことを許す程の「価値」が見いだせないからです。