試作機をつくり、さらなるアイデアを引き出す
ロールプレイングを実施し、製品の実際の利用シーンをシミュレーションするのもいいでしょう。他のメンバーがあなたの新しいアイデアを理解する上でも、さらに新しいアイデアを他のメンバーから引き出す上でも有効です。
ジェフ・ホーキンスは、今のスマートフォンの先祖とも言える携帯情報端末「パーム」を開発した際、ベニヤ板で本体を、割り箸でスタイラス(携帯情報端末に入力するためのペン状の筆記具)の模型を作り、議事録を取ったり、スケジュールを管理したりする上での使い勝手を、繰り返し繰り返し確かめたそうです。
ブレインストーミングの成果はできる限り確実に、可能な限り多く拾い上げて記録に残しておく必要があります。大きな紙、またはポストイットを利用すれば、集めやすいし保存もしやすいです。
ポストイットを集めて保存するときには、空間的な配置も同時に記録しておくといいでしょう。特定のメモがどこに貼られたかを記録しておけば、後々記憶を詳細に呼び起こす際に大いに助けになります。
最近はスマートフォンのカメラも高性能になり、デジタル写真や動画をたくさん撮ってクラウドで共有することも容易になりました。こうした、デジタル機器ならではの利点は、どんどん活用すべきでしょう。
ブレインストーミングを続けて実施するなら、二回目のセッションではホワイトボードなどを一回目のセッション終了時の状態に戻してから始めてもいいでしょう。あるいは、ホワイトボード全体をデジタルカメラで撮影しておいて、二回目のセッションの最初にその写真をプロジェクターで壁やスクリーンに映し、メンバーに見せながらセッションを始めることも有効です。
最近、ソニーが発売したポータブル超短焦点プロジェクター「LSPX-P1」があれば、机の上に前回のイメージを投影し、それに続けてアイデアを出していくといったことも可能になるでしょう。
セッションの成果は、たとえ紙に書き写すといった愚直な手法でしか記録ができなくても、ブレインストーミングが終了したら「すぐに」何かしらの方法で記録を取っておかなくてはなりません。人間の記憶の命は短いのですから。
さて、お楽しみいただいている「イノベーションの兵法」も14回目となり、「破壊的イノベーターになるための7つのステップ」についても半分程まで学んで来ました。
そこで、これまでの連載の内容をより深く知りたい方や、今後の連載内容をいち早く知りたい方向けに、テキストブックともなる書籍を出版させていただいております。
『日本のイノベーションのジレンマ 破壊的イノベーターになるための7つのステップ』。翔泳社より発売中です。
皆様、よろしければ是非、お近くの書店等で手に取ってみて下さい。
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