ブレインストーミングのルールの2つめは、「ワイルドな(自由奔放な、的はずれな、並外れた、狂気じみた)考え方を奨励する」ことでした。このルールを守るのは、「減点法」の学校生活を20年近く経験してきた我々日本人にとってはとても難しいことかもしれませんが、私たちの思考を縛っている、見えない「解の空間(答を探す範囲)」から頭を解き放つためには、突拍子もないアイデアという推進剤がどうしても必要なのです。

 3つめのルールは、②で出されたワイルドなアイデアの「尻馬に乗って」、どんどんと新しいアイデアを出し続けることでした。

 ブレインストーミングとは、「グループによる創造力に期待し、それを信頼するアイデア形成のための手法」です。異なる背景や知識を持つ参加者を集め、参加者がワイルドなアイデアを出し合って創造力を集結させるからこそ、一人で考えるよりも「解の空間」が拡がり、革新的なアイデアを数多く生み出すことが期待できるのでした。

アイデアの質は気にせず、できるだけ多く出す

 さて、ここからはいよいよ、ブレインストーミング7つのルールのうち4番目と5番目を学んでいきましょう。

④数を求める

 うまく回っているブレインストーミング・セッションでは、グループの思考の足かせが取り払われ、豊かなアイデアが次々と生まれるものです。このような状態を実現するためには、アイデアの良し悪しを気にせずに「できるだけ多くのアイデアを出す」という目標をグループに課すことが大切です。

 このルールも、慣れない参加者にはかなり抵抗を感じるものでしょうが、「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」という諺は、実は正しいのです。どうやらアイデアの質は、正規分布などの統計分布に従っているようで、大量のアイデアが生まれれば、必然的に質の高いアイデアも一定の確率で出現するのです。

 連載初期にも述べましたが、そもそも、イノベーションのアイデアの良し悪しは、市場が受け容れるかどうかで判断されるべきものです。ですから、発案者自身が最高だと思ったアイデアでも、それが市場で受け容れられなければ(売れなければ)、それは悪いアイデアですし、その逆に、企業がダメだと思ったアイデアでも、市場で売れたものは良いアイデアなのです。

 たとえば、コナン・ドイルは「シャーロック・ホームズ」を駄作だと思っていたそうですが、読者(市場)はこの小説を熱狂的に支持したではありませんか。

 ちなみに、ブレインストーミングのセッションは通常60分から90分程度で、90分以上になると非生産的になるそうです。60~90分程度の時間ですと、普通、少なくとも60個は新しいアイデアが生まれるそうです。目標を高めに設定すれば、100個以上のアイデアを創り出すことも可能でしょう。

 短い時間内にそれだけ沢山のアイデアを生み出すには、グループのメンバーは特定のアイデアの周辺にこだわらず、思考をすばやく別の方向へと次々と切り替えていくことが求められます。