ちなみに米ハーバード大学経営大学院のクリステンセン教授が創設したコンサルティングファーム「イノサイト」のメンバーたちも、このような「特定の状況」における「用事」にフォーカスを当て、「欲求の背後にある真の要因を理解する」必要があると述べています。

 このように、異質で多様な属性を持つメンバーによる徹底的な参与観察を通じて、様々な解決すべきニーズが発見されます。バイオデザイン・プログラムでは一回のプロジェクトで、少なくとも200、多いときには600以上もの具体的なニーズがリストアップされるそうです。

 第8回でもお話ししたように、バイオデザイン・プログラムでは様々な専門性と異質な属性を持つメンバーがチームになっていますので、現場を観察する際の視点が広く、また医療従事者が持つ「こういうときにはこうするもの」といった先入観がないため、医師や患者自身すら認識していなかった潜在的なニーズを見出し、取り組むべき課題を発見することができるのだそうです。

 現場観察と並行して、バイオデザイン・プログラムのフェローたちは、専門家への聞き取りや文献調査などを通じて医療に関する知識を増やしていきます。そして、ときには現場に戻って関係者からのフィードバックをもらい、見つけ出した沢山のニーズそれぞれの重要性を査定し、解決すべきニーズを数件に絞り込んでいくのだそうです。

お知らせ

さて、お楽しみいただいている「イノベーションの兵法」も11回目となり、今後「破壊的イノベーターになるための7つのステップ」についてより深く学んでいく予定です。 そこで、これまでの連載の内容をより深く知りたい方や、今後の連載内容をいち早く知りたい方向けに、テキストブックともなる書籍を出版させていただきました。

日本のイノベーションのジレンマ 破壊的イノベーターになるための7つのステップ

翔泳社より発売中です。

皆様、よろしければお近くの書店で手に取ってみて下さい。