かつては、ロケットの打ち上げ日を延期することがたびたびありましたが、移管後は決めた日に打ち上げようと努力しました。ビジネスですから当然です。打ち上げを延期すれば、費用が膨らみますから。

 もちろん、対策はとりました。これまでのデータを分析し事実に基づいて、点検業務を簡素化していった。理屈に基づくルーティンの改善です。その結果、燃料を充?してから打ち上げを延期した場合、それまでは早くても7日後だった再打ち上げが、最短で2日後、技術的には明くる日にも打てるようになりました。

 打ち上げ執行責任者には、すべての説明責任があります。お客様にも、現場にも、三菱重工のトップにも。だから、私はいつも、何かあったときのことを主体的に考えていました。トラブルがあったときに、なぜ、自分は打ち上げにゴーサインを出したのか。あるいは、なぜ、打ち上げを延期したのか、と。そのためにもプロセスをきっちり確立し、ルーティンを守ることが必要になるのです。

 こう考えると、ロケットは私の人生の「師」ですね。いろんなことを教えてくれた。自分が正しいと思うことをやり遂げる。そのためのルーティンを作れるかが大事なのではないでしょうか。(談)