やろうと決めた以上は極める

 島にいたら医者として時代遅れになるのでは、との思いにかられたこともありました。最初はその不安を払拭できずにいたのですが、そのうちに自ら向上し続けることが何より大事だと気付きました。

 これまで虫垂炎、ヘルニアから、食道がん、膵臓がん、肺がんなど通常診療所で手掛けるレベルでない手術もこなしてきました。いつも、さらなる高みを目指して努力してきたつもりです。何事もやるかやらないかの選択権はほとんどの場合、自分にある。仕事でやると決めた以上は、何事も極め、自分で面白くしていくことが大事です。

 離島医療は自然の厳しさを抜きに語れません。簡単な手術でも、孤立した離島という条件が加わると大ごとになります。台風で定期船が欠航し、ヘリコプターも飛ばない。そんな時に限って急患が発生するもので、停電の中、懐中電灯で照らしながら手術をしたこともあります。

 でも、そんな島だからこその利点もあると私は思っています。大病院は手続きが煩雑だったりして手術を始めるまでに時間がかかる。その点、手打診療所は小回りが利いて、24時間365日、いつでも開腹手術ぐらいはできます。患者さんによっては、都会より島の方がずっと利便性が高いことだってあるんです。  地域住民の医療に対するニーズは右肩上がりです。現役を続ける以上はそれに応えられるように精進し続けたいと思います。(談)

(日経ビジネス2016年1月18日号より転載)