国は民間の支援に徹しろ

 とはいえ、それを国が主導していくのが良いかというと、そうは思いません。国の役割は20世紀には大きかったですが、今は非常に硬直化している。むしろ、宇宙開発のベンチャー企業が続々と立ち上がっていますが、こうした動きこそ大いに歓迎すべきです。国主導で国力を比べ合う世界から、民間で競争原理を働かせて発展していく方が望ましい。

 国は目線を下げて、民間の活動を支援する姿勢に転換しなければなりません。今、官は大変な“がん”ですが、がんは治せる時代です。

 官の弊害は、実は根が深い。官僚も研究者も皆、視野が狭くなった。もはや、コピー&ペーストの世界ですよ。独自のビジョンを持たず、外国や前例のまねばかりで、自分の頭で考えない人が増えた。

 惑星探査も例外ではありません。「はやぶさ」は大変よくやって喝采を浴びました。しかし、あれだけヒヤヒヤした原因はどこにあったのか。そもそも、地球の周りを回る衛星レベルのものでケタ違いに遠い惑星を目指そうという発想に無理があるのではないか。そこを根本的に変えて、次のレベルの技術に行こうという動きが、「はやぶさ2」にもあまり見られません。

 執念、というわけではありませんが、私も自分がやれる範囲で貢献したいと活動を続けています。ボランティアでやっている「北海道宇宙科学技術創成センター」などで、宇宙への大量輸送時代に備えて、巨大な飛行船からロケットを発射するシステムとか、宇宙空間で威力を発揮する電気推進エンジンとか、次世代の技術を研究しています。

 まあ、こういった話には、なかなか耳を貸してもらえないのですが。現役の人たちに、もう少しちゃんとしたことをやってくださいよ、と言いたいだけなのだけどね(笑)。(談)

(日経ビジネス2015年11月9日号より転載)