ムチャぶりと丸投げを

 「他の人も思いついたアイデアだったか」「実現は難しいのか」などと落ち込む必要はない。「面白いと思う人が他にもいたんだ!」と心強く思っていい。そして、倒れた先人に敬意を表しつつ、それを越え、しっかり登り切る。何より、人を楽しませるために全力で臨むことが第一で、それを追い求めた結果としてオリジナルなものができたなら最高です。

 「こんなことができたら面白いのに…」と思いついても、実現する技術がない時代には「妄想」でしかなかった。しかし、様々な表現技術が発達した今、様々なことが実現可能になった。スタッフには、1人で妄想している暇があったら、使える武器を手に、面白そうな山にどんどん挑めと言っています。

 同時に、どんどん失敗させることも大切です。「最近の若手は失敗するとすぐ凹むから、成功体験を積ませて自信を持たせよう」といった考え方もあるようですが、経験の豊富さとは失敗の数で計るべきで、想定内のことを繰り返した経験なんて、いざという時、何の役にも立たない。失敗したことのないやつに、大事な仕事なんて任せられません。

 失敗を重ねさせるには「ムチャぶりと丸投げ」が一番です。私自身、フジテレビ時代は、ひたすらムチャぶりをされて、そしてムチャぶりをして、失敗の限りを尽くしてきました。しかし、これこそが今の私を支える財産です。

 リーダーは目指すべき頂を示し、そこに至るにはどんな頑張りが必要かを示し、あえて任せ、その失敗のリスクを引き受けながら、勇気を持って前に進む。そんな存在であるべきだと思います。(談)

(日経ビジネス2015年11月30日号より転載)