こんにちは。シリコンバレー支局の市嶋です。先日、ライドシェアサービスのウーバーに久しぶりに乗りました。日本への一時帰国のため、自宅からサンフランシスコ国際空港までの約30キロを往復しました。
 リフトも含めて1年以上、ライドシェアに乗っていなかったのですが、いくつかの変化を感じました。以前は15分以上待たされることも多かったのですが、行きは2分、帰りは5分と短時間で配車されました。以前に比べるとまだ利用者が少ないのですが、ある程度の数のドライバーが仕事に出ています。供給が多少上回っているのでしょう。
 米国では新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、特に国内旅行は回復しつつあります。行きのウーバーの運転手は、日によってはコロナ前の7~8割の水準に近い仕事があると言っていました。昨年、6万ドル(約650万円)のテスラ車を購入し、ウーバーのフルタイムドライバーで稼いで返済しているとのことでした。
 私が日本に一時帰国している間にウーバーテクノロジーズの2021年1~3月期の決算が発表となりました。前年比でコロナ禍の影響を見ることができる初の決算です。米国では20年3月に入って感染が拡大し、3月中旬から、シリコンバレーやニューヨークなどでロックダウンが実施されました。
 そのウーバーの決算は、売上高が前年同期比で11%減にとどまり、回復基調と言えそうです。ただその中身を見ると、構造変化が起きています。ライドシェアなどの移動サービス部門の売上高は前年同期比65%減の8億5300万ドル。逆に料理宅配の「イーツ」などのデリバリー事業の売上高は前年同期比3.3倍の17億4100万ドルまで伸長し、完全に逆転しています。
 イーツが主力になったことを感じさせたのが、ライドシェアのアプリです。帰途に空港から乗る前に「長時間のフライト後のお食事に。ご乗車中に地元の人気料理を注文すれば、すばやくお食事をお楽しみいただけます」とのメッセージとともに、自宅近くのレストランからのデリバリーを勧められました。乗車中にもアプリにイーツを注文するための「Food」のボタンが大きく表示されています。
 ウーバーのビジネスの収益源はアプリを利用して、顧客とドライバーをマッチングする際の手数料です。当然ながらその手数料におけるデリバリーの比重が高まり、赤字幅も四半期ごとに減少しています。
 しかしウーバーが黒字化した上で十分な利益を出す道筋は不透明になっています。ライドシェア全盛のころは自社で自動運転を実現し、ドライバーに渡すフィーを大幅に圧縮するシナリオがありました。ただ自動運転の開発部門は20年末、米アマゾン・ドット・コムなどが出資する競合のオーロラ・イノベーションに売却することで合意しました。
 となると、主力のフードデリバリーをどう収益化していくのか。レストランと顧客宅を行き来する小型ロボットに投資すると考えるのが自然でしょう。そうしないとウーバーの取り分は増えません。ここ数カ月に大きな動きがありそうです。一方で、ライドシェアの自動運転でも身軽になった分、適切な企業からテクノロジーや車両を調達することになるかもしれません。
(シリコンバレー支局長 市嶋洋平)