中国の規制当局は4月10日、アリババ集団に182億2800万元(約3000億円)の罰金を科しました。独占禁止法違反としては過去最大の金額となります。同日、アリババは900文字近い長文の文書を発表し、当局の処罰を「心から受け入れ断固として従う」と表明しました。当然のことながら当局の「検閲」を受けた発表内容でしょう。
 主な内容は主力事業の電子商取引(EC)プラットフォーム上で、出店企業に対して競合プラットフォームへの出店を禁じる「二者択一」を迫ったというものです。何年も前から指摘されていたことですが、これまで当局は動こうとしてきませんでした。アリババの発展は、こうした中国政府の姿勢に助けられてきた面もありました。
 当局は昨秋から急転直下アリババを締め付けようという流れになったことを受け、にわかに法律を厳格に運用し始めました。アリババ傘下の金融会社アント・グループや、所有する香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストなどのメディア企業の再編など、当局の検討の俎上(そじょう)に乗っているとされる案件は複数残されています。
 巨額罰金処分が明らかになる前日、英フィナンシャル・タイムズ(FT)はアリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が創立した起業家を育成するビジネススクール「杭州湖畔大学」の新入生の受付が、中国政府によって停止させられたと伝えました。マー氏の影響を受ける企業経営者が増えることを警戒したといいます。
 民主主義と資本主義の中で生きる日本人にとってはまったく見当外れに思えますが、強権主義と資本主義という本来は相いれない組み合わせを採用する国でならではの発想と言えそうです。マー氏は会長を退任する際「教師になりたい」と述べていました。巨額罰金以上にこたえる内容の処分だったかもしれません。(関連記事:アリババの焦燥
(上海支局長 広岡延隆)

(写真:AFP/アフロ)