こんにちは、ニューヨーク支局の池松です。ゴールデンウイークを利用して日本に一時帰国しています。帰国前と後に受けた2度の新型コロナウイルス検査で陰性結果となり、ワクチン接種をしていても、帰国時には14日間の自主隔離が求められます。そこまでして帰国したのは、認知症を患っている母に忘れられる前にどうしても会っておきたかったからです。新型コロナウイルスのパンデミックが起きる直前の2020年1月以来の面会でしたが、正直なところ「ギリギリ」でした。皆さんもゴールデンウイークは家族サービスをされたことと想像します。
 帰国してからは日米の新型コロナ対策の違いに驚いてばかりいます。改めてコラム「ニューヨーク発直行便」でお届けしたいと思っていますが、ここでは日本の水際対策の実際について少しだけシェアさせていただきます。
 水際対策はニューヨーク(実際はニュージャージー州のニューアーク国際空港)での飛行機搭乗前から始まりました。厚生労働省が提供する入国の際の質問票をQRコードから読み取ってウェブ上で記入し、その後、発行されるQRコードを保管します。これを見せないと荷物も預けられませんでした。
 荷物を預けてゲートに入り、飛行機に乗るまでは同じです。ただ搭乗すると書類が配られ、機内でさらに質問票に記入したり誓約書に署名したりします。一連の作業を通じて提供した情報(かなり重複が多かったように感じました)や約束事は、ざっくり下記の通りでした。

・過去14日間以内にコロナ陽性者と接触していないかなど自身の健康状態
・日本での滞在先や空港からの移動手段
・自主隔離期間は日本政府や地方自治体に居場所を知らせることを誓う

 ちなみに4月下旬、筆者が乗ったニューアーク-成田便の搭乗者数は7人、うち3人が他国への乗り継ぎでした。
 到着後は、機内で記入した書類と出国前の72時間以内に受けたPCR検査の結果を提出。さらに唾液検査を受け、その結果が出る数十分を利用して、自主隔離中に位置情報を知らせるのに必要なアプリをスマートフォンにダウンロードする作業をしました。
 ダウンロードしなければならなかったのは、(1)位置情報確認のためのOEL(Overseas Entrants Locator)アプリ、(2)ビデオ通話による健康状態確認のためのSkype(スカイプ)またはWhatsApp(ワッツアップ)アプリ、(3)コロナ陽性者との接触確認アプリ「COCOA(ココア)」、の3つです。
 このうち(1)と(2)はすぐにダウンロードできたのですが、ココアだけはソフトウエアを最新にする必要がありました。筆者は在米時、日本で使用していた仕事用のスマホの電源をオフにしてほぼ使っていなかったためアップデートに1時間以上かけましたが、結局、終わらず、ココアのみを別の個人用スマホにダウンロードすることで許可してもらいました。
 その次の工程で、飛行機搭乗前に入手したQRコードを見せ、滞在先や移動手段などを改めて確認されます。この担当者に聞いたのですが、一連の水際対策は日本政府と地方自治体が手分けして担当しているとのことでした。(1)のOELアプリでの位置情報確認は地方自治体の管轄、(2)のビデオ通話による健康状態の確認は日本政府の管轄になるそうです。この担当者は地方自治体の所属だったのか、こう教えてくれました。
 「OELでの連絡は毎日午前11時頃から午後2時頃までの間に行くはずです。でもビデオ通話については、ほとんど連絡が行かないと聞いています。管轄が違うので……。来たら返事をするようにしてください」
 筆者には少しシニカルに聞こえました。
 後は自治体などからの連絡に対応するのみ! 検査結果も陰性と分かり、意気揚々と、予約しておいた新型コロナ感染予防対策のタクシー車両に乗り込み自宅へ向かいました。
 OELのアプリを使い始めるには、登録したメールアドレスに入国者健康確認センターから送られてくるIDとパスワードが必要になります。だいたい翌日に来ると聞いていたので、なぜかドキドキしながら何度もメールを確認して待っていましたが、待てど暮らせど来ません。結局、自主隔離期間が終了した5月8日まで来ませんでした。ビデオ通話による連絡もなく、8日午後7時前に電話がかかってきただけでした。その電話は、取ろうとしたらすぐに切れてしまったのですぐにかけ直したのですが、「窓口は5時まで」との録音音声が流れるだけでした。
 政府からの連絡がなくても筆者は真面目に自主隔離し続けましたが、このような対応では水際でウイルスの流入を防げるとは思えません。米国に比べて、小売店やレストランでの対策も不十分なように見えます。何より街中でソーシャル・ディスタンスが守られていないことの多さに一番の違和感を抱きました。このままでは日本国内にいる人を守れないばかりか、海外から来る人にも「対策ができていない」との印象を与えてしまいます。東京五輪・パラリンピックで海外からの批判が集まるような予感がしています。
(ニューヨーク支局長 池松由香)