こんにちは、ニューヨーク支局の池松です。こちらはここのところ最低気温がマイナスになる日が続いていたのですが、この記事を書いている3月9日は最高気温が18度(最低気温は2度)という暖かい日でした。気温の上下が激しいと体の調子がおかしくなってしまいそうですが、暖かいと気分は上がるもの。買い物に出た先のリカーショップの店員さんも、普段に比べて心なしか上機嫌でした。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
 日本では新型コロナウイルスのワクチンが話題になっていると思います。こちらでは徐々に普及が進み、周囲に接種した人も増えてきました。州によって異なりますが、対象となる人の条件も拡大されはじめています。ニューヨーク州では10日から、受け付け対象の年齢制限が「65歳以上」から「60歳以上」に拡大されました。
 9日のグローバル・ダイジェストで取り上げたニューヨーク・タイムズの記事で、近隣で「残り物のワクチン」が生じた場合に連絡をもらえるサービスについて知りました。ドクターBというニューヨークのスタートアップが運営しているサイトです。
 ワクチンは温度など保管条件が厳しいので、その日に予約した人が会場に現れなかった場合、廃棄処分となります。これがもったいないと、接種会場では周囲にたまたま居合わせた人などに声をかけて、受けたい人には受けてもらう方法を取ってきました。
 でも、簡単に希望者が見つからない日もある。そこでドクターBは、あらかじめ接種希望者にサイト上で登録してもらい、ワクチンが余った会場のジップコード(郵便番号)をベースに優先順位の高い人から順にスマートフォンに連絡を入れ、会場に来てもらう仕組みを作りました。運用がスタートしたのは1月下旬。まだ2会場のみの試験運用のようですが、サイトを見るとすでに78万人を超える人が登録していました。
 そこで筆者も登録させてもらいました。その手順は至って簡単。まず、画面の「I want the COVID vaccine」のボタンをクリックすると、電話番号を入れる画面が出てきます。そこに番号を入れると、スマホ(もはや固定電話を登録する人はいませんね)に6ケタのコード番号が送られてくるので、それを次の画面で入力します。
 さらに氏名、自宅のジップコード、誕生日、電子メールのアドレスを入力すると、今度はあらゆる疾患のリストが出てきます。該当する疾患のボックスにチェックマークを入れると、次は職業リスト。該当する所をクリックしたら完了です。とても簡単!
 ちなみにニューヨーク州では接種は無料、保険がなくても受けられます。年齢(誕生日)や病歴、職業を入れるのは、州でワクチン接種の対象となる優先順位がそれらによって決められているからです。ドクターBのサイトでは、現時点で接種対象者に該当していなくても、他に接種希望者がいなければ受けられるようです。
 この仕組みを生み出したのは、すぐに治療を受けたい患者と予約を取れる医師とをマッチングするサイトを手掛ける米スタートアップ、米ZocDocの創業者でもあるサイラス・マスーミ氏です。ドクターBは現時点では営利目的ではなく公益目的のようですが、いずれは営利につなげたいとのこと。同じ技術を使って社会が必要とするサービスをすぐに生み出すあたりは、フットワークの軽い米国ならではという印象を受けました。
 ドクターBの名前の由来も少し面白いので、ぜひグローバル・ダイジェストをお読みいただければと思います。またワクチン接種の連絡が来たら、こちらでも報告させていただきます。
(ニューヨーク支局長 池松由香)

(写真:ロイター/アフロ)