新型コロナウイルスの規制が緩和されたら現地で取材したいと思う企業が1つ増えました。農業技術の先端事業「アグテック(AgTech)」に分類されるフランス企業の「インセクト(YNSECT)」です。同社はミールワームという昆虫の養殖加工会社であり、13日にオランダで人間の食用ミールワームの養殖加工を手掛けるプロティファーム(Protifarm)の買収に合意したと発表しました。
 ミールワームとは、釣りなどでおなじみのチャイロコメノゴミムシダマシの幼虫です。インセクトは動物の飼料用や植物の肥料用として粉末状などに加工をしています。同社はフランスのブルゴーニュ地方に近代的な工場を建設し、生産量を増やしているとのこと。4億ドル(440億円)超を調達し、パリ北部に10万トン以上の生産能力がある巨大な昆虫農場を建設する予定です。
 今年1月に欧州食品安全機関(EFSA)がミールワームの食用安全性を認めたことを受け、インセクトはアスリートや高齢者向けの高たんぱく質サプリメントの開発に注力し、肉の代替品市場に参入する計画です。動物由来の肉ではなくタンパク質を摂取したいという健康志向に応える点や、肉の生産に比べて環境負荷が少ない点などが注目されています。
 世界で肉の代替品市場が急速に拡大しています。グレッグスという英国のベーカリー大手が代替肉ソーセージを販売するなど一般的になりつつあります。筆者はグレッグスで通常の肉と代替肉を食べ比べましたが、味の違いは分かったものの、どちらが本物の肉かは分かりませんでした。
 環境問題や社会問題に熱心な人でも、「昆虫を食べるのはちょっと遠慮したい」と思う人は多そうです。実際にインセクトの商品は、どのような物なのでしょうか。写真で見るのと、実物を見るのとでは感じ方が違うかもしれません。出張ができたら工場で実物を見て、匂いなども確認してみたいと思います。どんな人が経営しているかにも興味があります。最終製品としては原形が分からない形になっているようですが、製造現場の様子も商品特性を知る上で重要だと思うからです。昆虫など肉の代替品の市場が多様な広がりを見せています。
(ロンドン支局長 大西 孝弘)

(写真:ロイター/アフロ)