【メルマガ独自解説】
 英ロンドンの街中では資本主義経済の光と影が激しく交差します。昨年末に高級百貨店「ハロッズ」を訪れると、買い物客の人いきれに圧倒されました。年明けのショッピングストリートも、たくさんの買い物袋を持った人々でにぎわっています。その一方、地下鉄の駅の周辺ではホームレスの姿が目立ちます。英政府は今後もホームレスが増えていくという予測を発表しています。
 インフレであっても富裕層への影響は少ないのでしょう。高級品や高級車の売り上げは堅調です。インフレの影響が大きく出るのは、庶民であり生活困窮者です。それゆえ、2月6日号の特集「欠乏経済 燃料も人も足りない」では庶民や生活困窮者のライフスタイルの変化を取り上げました。路上で生活困窮者の自立を支援するための雑誌「ビッグイシュー」を売る人にも話を聞きました。「将来のために蓄えていた政府からの給付金を取り崩さないと生活できない」と苦しい現実を話してくれました。
 特集ではあまり言及できませんでしたが、世界的なエネルギー危機で天然ガスの奪い合いになっています。欧州などの豊かな国が天然ガスを買い占め、途上国の一部が調達しにくくなっていると聞きます。欧州の危機は、途上国の生活にも影響を及ぼしています。
 1月から日経ビジネスAUDIOで「大西孝弘の『日本と欧州の交差点』」という新番組を始めました。こちらでも欧州のインフレやエネルギー危機、ストライキの動向について語りますので参考にしてください。
(ロンドン支局長 大西孝弘)