【メルマガ独自解説】

 「2024年問題」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。パーソルホールディングスが経営者と会社員1000人に聞いたところ、「知らない・分からない」と答えた人が半数を占めたそうです。かくいう私も、知ったのは1年ほど前のこと。2024年4月からトラックドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限されることだと聞いて「物流業界に限った問題なのに、大仰なネーミングだな」と思いました。コンピューターが誤作動して社会全体が混乱するのではと恐れられた「2000年問題」を想起させたからです。

 しかし日経ビジネス1月23日号の第2特集「トラック運転手が足りない! 物流危機『2024年問題』、DXで挑む」の取材を進めるうちに気づきました。このネーミングは決して大仰ではないのだ、と。労働時間の短縮はドライバーが運べる荷物量の減少に直結し、荷物を運びきれなくなる物流危機が懸念されています。影響は全ての産業に及び、社会が大混乱に陥る可能性があります。

 運送会社はDX(デジタルトランスフォーメーション)による業務の効率化に取り組み始めましたが、それだけでは解決は難しいでしょう。荷主である企業や消費者の理解、協力も不可欠です。あらゆる人々に、自分にも関係する問題であるという認識で読んでいただきたいと思います。

(日経ビジネス記者 佐藤嘉彦)