【メルマガ独自解説】
 国鉄が分割民営化されたのは1987年のことでした。個人的な話で恐縮ですが、私が小学生になったのもちょうどその年です。くすんだ色合いの車両がカラフルに塗り替えられ、バブル経済を背景に豪華な新型車両が次々と登場。毎月出る鉄道雑誌を読むのが楽しみで「鉄道はこれからどんどん発展していく」と心躍らせていました。
 それから35年。現実は、思い描いていた鉄道の未来とはずいぶん違ったものになっています。駅の窓口閉鎖や無人化が加速し、列車も減便。最近はローカル線の廃線問題も再び焦点になりつつあります。まるで国鉄末期のような沈滞ムードが漂っています。
 これを新型コロナウイルス禍だけのせいにするのは無理があります。実は国鉄は1949年の発足から38年で解体されました。その前も大体、40年周期で鉄道の運営形態は変わってきているのです。だとすれば、JRの“賞味期限”も迫ってきているのかもしれません。
 日経ビジネス10月3日号の特集「鉄道の岐路 民営化35年 JRの試練」はそんな問題意識で取材を進めました。必死にもがく鉄道の現場から、主要各社の経営陣、ローカル線存廃に揺れる沿線自治体まで、実際に現地へ足を運び、それぞれの思いを記事に盛り込んでいます。分岐点に立つ鉄道が向かうべき進路はどこなのか。読者の皆さんもぜひ一緒に考えてみてください。
(日経ビジネス記者 佐藤嘉彦)