【メルマガ独自解説】

 VUCA(ブーカ=変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)時代とも称されるほど先々が見通せない現代。かつて日経ビジネスでは「勝ち残る『変身経営』」と題した特集を組み、花王や米ゼネラル・エレクトリック、米IBMなどを事例として、潮流の変化に合わせて業態を変え続ける重要性を指摘しました。その中では、「変身」に成功した企業の共通項として、パーパス(存在意義)やビジョンのような形で将来ありたい姿を明確に描いていることを挙げています。

 「『変態』を続けてきた企業としての成功事例だと思っている」。こう自負するのは日経ビジネス10月3日号の戦略フォーカス「ぴあ、エンタメ『何でも屋』への道」の主役、ぴあの小林覚取締役です。出版から始まり、チケット流通で事業規模を拡大させ、いち早くネット販売に取り組むなど、時代の移り変わりを先取りするように業態を変えてきたぴあもまた、エンターテインメント(エンタメ)業界を活性化させ、人々が生き生きと暮らせる社会を目指す、という「針路」を明確に持ち続けてきた企業です。

 新型コロナウイルス禍で「不要不急」という扱いを受けたエンタメ産業。それでも「推し活」文化の定着が示す通り、エンタメは人々の生きがいになり得ます。「不急」ではあるかもしれませんが、人々が活力を持って暮らすには欠かせない産業が成長できる社会こそ、真の「成熟社会」と言えるのではないでしょうか。

(日経ビジネス記者 高尾泰朗)