【メルマガ独自解説】
 日経ビジネス7月11日号の特集は「TOKYO再起動 衰退か、進化か」です。日本の首都であり、政治・経済の中心地である東京はいま、どんな局面にあるのでしょうか。今回の特集チームではビジネス面、特に「不動産市況・街づくり」「ソフトパワー」「企業のインキュベーション機能」の3つに焦点を当て、最新動向をリポートすることにしました。もちろんこれで語り尽くせるテーマではないことは重々承知しています。皆様からアイデアやご感想をお寄せいただければありがたく存じます。
 例えば不動産市況一つとっても、判断は揺れます。「オフィスの●●年問題」と呼ばれる、供給過剰による構造不況論は、過去に何度も取り沙汰されてきました。けれども、そのたびに市場は乗り越えてきたという経緯があります。ある意味で「オオカミ少年」的なネタなのです。果たして「今回は違う」のかどうか。ウオッチを継続してまいります。
 個人的な注目点は、東京に熱い視線を送る海外投資家の声です。2022年初夏の取材時点では「相対的に政治経済や市況が安定している」投資先として「まだまだ買い」だというのです。実際、都心では建物名に投資会社の名前が付けられていたり、外資による買収後の大規模なリノベーションで小奇麗なビルに生まれ変わったりするケースが増えています。マクロで見ればインフレ退治を目指して世界的に金融環境が引き締めに向かうなか、マネーが引き続き供給され続けるのかも今後の注目点でしょう。
(日経ビジネス記者 三田敬大)