【メルマガ独自解説】
皆さんは量子コンピューターにどのようなイメージをお持ちでしょうか。
全くイメージが湧かない……。恥ずかしながら私もその1人。日経ビジネス6月27日号の特集「量子の世紀 革命に乗り遅れるな」の取材は、暗中模索の状態から始まりました。関係者に話を聞くと「量子はすごい」という人から「使い物にならない」という人まで、評価はバラバラ。再び途方に暮れました。
そんな時、量子コンピューターを長年研究してきた慶応義塾大学の伊藤公平塾長が、こんな例え話をしてくれました。「量子コンピューターというのは今、赤ちゃんから子供になったくらいなんです。幼稚園の運動会で『なんだその走り方は。オリンピック選手に勝てないぞ』なんて言う人はいますか?」と。今は使い物にならなくても、将来、我々の社会・経済を助けてくれるかもしれないから研究開発を続ける価値があるのだと言います。
とかく成果が求められる昨今、量子技術に割くリソースなどないという企業は多いでしょう。しかしそれでいいのでしょうか。行動を起こさなければ量子技術は“夢”のまま。
特集では、量子技術の可能性を信じ、開発や活用に乗り出す企業の事例を追いました。ぜひ先入観を排して、量子技術の社会実装で変わるかもしれない、日本の経済・社会・生活の未来の姿を感じていただければ幸いです。
(日経ビジネス記者 佐藤嘉彦)
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