【メルマガ独自解説】
 「誰も彼もが『営業職希望です』『体力には自信があります』ってアピールしていましたよ」――。小売大手の人事担当幹部が2000年ごろの新卒採用の現場を振り返って口にした言葉です。
 日経ビジネス6月13日号の特集「氷河期世代をなめるな」では、バブル崩壊をきっかけに各社が採用抑制に走ったことで生まれた「ロスジェネ」に改めてスポットを当てました。1990年代後半からは金融不安も重なって、雇用情勢は一層悪化。労働規制の緩和や、自己責任論が声高に叫ばれる風潮もこの世代を追い詰めました。
 政府が支援策をまとめるに当たって定義したところによれば、1993~2004年ごろに社会へ出た人が「氷河期世代」に該当します。
 かく言う私もこの世代の一人ですが、就職活動の際には自分の希望は横に置いて、がむしゃらにアピールをしないと受からないと、まことしやかにいわれていました。冒頭の幹部の発言は、まさに当時の私の姿です。就職難のプレッシャーから、到底営業には向かず、体育会系でもないのに的外れのPRをした私は採用試験に落ち続けました。
 氷河期世代はこの春で、4年制大学を卒業した場合には、全員が40歳以上になりました。社会に出る第一歩でつまずいたことで、今も不遇をかこつ人も多くいますが、昭和の規律と平成のダイバーシティーの両方を知るこの世代が社会や組織の中核になれば、時代は必ず前に進みます。
 この世代が受けた仕打ちとポテンシャルをリアルに伝えたい。挑発的なタイトルには、執筆者として、また当事者として、そんな気持ちを込めました。
(日経ビジネス記者 奥平力)