【メルマガ独自解説】
 今から二十数年前、東京外国語大学にいた私はロシア政治を研究していました。ここだけの話ですが、進路を決める際は「将来は外務省に」と野望を抱きました。しかし下から数えた方が早い成績を謙虚に受け止め、諦めたものです。
 記者職に就き、優秀なキャリア官僚に何人も巡り合ってきました。時の大臣から「伏魔殿」と敵視されたこともある霞が関。複雑怪奇な世界を泳ぐエリートたちは、やはり多士済々で多種多様です。ただ幹部たちに比べ、若手~中堅に覇気がないことがずっと引っかかっていました。生意気な言い方をすれば「それで日本を復活させる気があるのか」と。
 90年代の大蔵省(現財務省)過剰接待に端を発した国民の「霞が関不信」は根強く、今も「省益優先で政治家の顔色をうかがっている」とささやかれがちです。「いくら国のために働いても評価されない」(総務省の若手キャリア)との感覚は、もはや働きがいの追求では消せないレベルなのでしょう。
 ただ「新しい資本主義」を掲げる岸田文雄首相は、官民連携の必要性を唱えています。今こそ霞が関をモデルチェンジし、官僚が培ってきたチカラを有効に使って経済を浮揚させる好機なのではないでしょうか。
 日経ビジネス6月6日号の特集「官僚再興 このままでは国が沈む」は、霞が関の現在地を追いながら、民間企業との協働策を探りました。ビジネスパーソンの皆さんにとって、何かしらの参考になれば幸甚です。
(日経ビジネス記者 鳴海崇)