【メルマガ独自解説】
 読者の皆さんは、「面接のプロ」という言葉をご存じですか。大手商社の人事担当者の口から初めてこの言葉を聞いたときに、私は面接官として場数を踏んだ社員を思い浮かべてしまいましたが、違います。就職活動の面接でのやりとりやエントリーシートの内容がずぬけていて、実際以上に自身をプレゼンテーションできる学生を指すのだそうです。
 日経ビジネス5月30日号の第2特集「コロナ世代の採用戦線、『ガクチカ』に限界 就活生1000人調査」では、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、様変わりした就活の現場をリポートしました。サークルやゼミといった活動が大きく制限され、定番の質問だった「学生時代に力を入れたことはなんですか(ガクチカ)」が通用しなくなったことで、日本の新卒採用は大きな転機を迎えようとしています。
 課外活動から学業へ、大学生活の重点シフトは続いてきましたが、コロナ禍で課外活動が自由にできなくなったことはこの流れをダメ押ししました。学業で評価するのは、課外活動で評価するのに比べてエピソードを盛りづらく、人物像にギャップが生じにくいといったこともあって、一部企業は採用活動の現場で履修情報を利用し始めています。
 ガクチカはもちろん、「人生で苦労したことはなんですか」「あなたの強みと弱みはなんですか」と尋ねられても気の利いた受け答えができなかった自分からすれば、揶揄(やゆ)だと分かっていてもなお羨ましく感じてしまった「面接のプロ」の称号ですが、いずれ過去のものになるのかもしれません。
(日経ビジネス記者 奥平 力)