【メルマガ独自解説】
 記者という職業柄、得た情報はうのみにしないことを心がけてきました。ECサイトやテレビ通販での衝撃的な値引き価格を見ても「いやいや、原価を考えれば、飛びつくほどの安さではないだろう」と衝動買いを我慢できると自任してきたつもりです(単にうたぐり深いだけ、かもしれません……)。
 ところが、今回の特集の執筆中に、子どもの運動会に備えて半年前に購入したビデオカメラのことを思い出しました。ラインアップのうち、一番高い機種は避け、かといって一番安い機種にも食指が動かず、結局中間価格帯のものを選びました。メーカーが意図していたかは分かりませんが、結果的には行動経済学でいう「松竹梅の法則」の通りの消費行動を取っていたのです。恐るべし、人間の本能。
 日経ビジネス5月23日号の特集「買わせる心理学 進化する本能マーケティング」では、私たちの心を動かす最新マーケティング手法をリポートしました。また、行動経済学やナッジ理論についても一覧にしてまとめました。
 スマートフォンを通じて得た移動情報などを基にしたデータ分析が高度化するにつれ、私たち消費者の行動を先読みするマーケティング手法も一段と進化しています。この手法は健康診断の受診促進など公的分野でも本格的に応用され始めています。今回の特集を、皆様ビジネスパーソンにとっての「基礎知識」として楽しんでいただければ幸いです。
(日経ビジネス記者 三田敬大)