【メルマガ独自解説】
 「人生であの時期が一番良かったですね」。日経ビジネス2月14日号の特集「セブンの覚悟 カリスマ後のコンビニ回帰」のインタビューで、セブン&アイ・ホールディングス(HD)の井阪隆一社長は、1990年代にハワイへ赴任していたときの話を楽しそうに語りました。
 ちょうどキラーコンテンツである「スパムおむすび」が生まれたころです。その後も地元に合わせた商品が次々と開発され、ハワイはセブン-イレブンの1つの成功モデルになりました。日本での成功も、公共料金の支払いをはじめとした新しいサービスや、新商品を次々と投入してきたからにほかなりません。井阪社長のハワイでの思い出は、「目新しさ」こそセブンの価値なのだと私に感じさせました。
 しかし、最近のセブンには「目新しさ」が欠けているように思います。セブン&アイHD全体でのシナジーもなかなか創り出せず、マーケットからはここ数年間「コンビニに集中してほしい」という声がずっと聞こえていました。東レ経営研究所の永井知美チーフアナリストも「コンビニが提供できる便利さや新しさはある程度出尽くしてしまったのではないか」と分析します。
 今回の特集ではセブン&アイHDの現状と課題を分析しました。セブンは我々にもう一度、目新しい何かを見せてくれるのでしょうか。井阪氏の手腕に期待したいところです。
(日経ビジネス記者 田中創太)