【メルマガ独自解説】
 なぜ既存顧客を大切にしないのだろうか。長年、携帯電話業界を取材して感じてきました。各社は端末代金をタダにしたり、数万円のキャッシュバックを出したりして、他社から顧客を奪おうと血道を上げました。そのマーケティングコストは既存顧客が支払う通信料金で賄われ、高止まりの一因に。事業者を数年ごとに乗り換える人が得をし、長年使い続ける人は割を食ってきました。
 しかし今、無理に新規顧客を開拓するよりも、既存顧客とつながり続けたほうが効率的だという意識が企業の間に広がってきています。顧客が「ファン」になれば、より多くの売り上げが見込めるだけでなく、口コミなどで新たな客を呼び込む役割も期待できます。
 1月31日号の特集「ファンづくりの極意 薦めたいブランド1万人調査」では、利用している商品・サービスを家族や友人に薦めたいかを消費者1万人に尋ねた「顧客推奨度(NPS)」をランキング形式で紹介。ランキング上位企業の取り組みを通じて、ファンを増やすマーケティング手法に迫りました。ちなみに携帯電話の大手3社は、いずれも最下位クラスに沈んでいます。
(日経ビジネス記者 佐藤嘉彦)