【メルマガ独自解説】
 のっけから愚痴めいて恐縮ですが、ソフトバンクグループそして孫正義氏について何かを書くことは「難題」です。一代で巨大企業グループを成した「偉大さ」と、本人が自認する「いかがわしさ」が併存し、ちまたの評価も定まりません。取材を重ね1つの真実を浮かび上がらせる、という手法が通用しないのです。
 2021年春まで社外役員だった川本裕子氏(現・人事院総裁)は退任にあたって「(孫氏は)いろいろな方の意見を聞いて方向転換すること、良い意味で朝令暮改することを全く厭(いと)いません」とのメッセージを残しました。もしかすると、この融通むげこそが孫氏の真実なのかもしれません。
 21年12月下旬に複数の海外メディアが報じた「保有するユニコーン株を担保に数千億円規模の資金調達を検討」についても、外野からは一見「担保にとられてしまうのか」と思えますが、先々に備えて多様な選択肢を開拓しておこうという、「方向転換」の一種なのでしょう。
 22年1月10日号の特集「孫正義の『資本論』 ソフトバンク、巨大ファンドの内幕」では、そんな孫氏の経営哲学および、ユニコーンファンドの実態に改めて迫りました。出資先である海外起業家の声も集め、ソフトバンクGの現在地を多角的に表現したつもりです。変化し続けるソフトバンクGをどう理解すべきか、読者のみなさまの一助になれば幸いです。
(日経ビジネス記者 三田敬大)