【メルマガ独自解説】
 人類が地球上で水に次いで多く用いている物質は何でしょうか?
 答えは「コンクリート」。古くはローマ帝国の時代まで遡るこの建設部材は、水とセメント、砂利や砂などの骨材で構成されます。現代の高層・大規模建築や社会インフラに欠かせないコンクリートですが、近年は社会から厳しい視線を向けられるようになりました。セメントは1400度以上で焼成する必要があり、製造過程で多くの二酸化炭素(CO2)を排出するためです。セメントの世界生産量は41億トンに達し、世界のCO2排出量の約8%を占めるほどのインパクトとなっています。
 2050年の脱炭素社会の実現が声高に叫ばれる昨今、コンクリートを大量に使う建設業界は根本から技術を見直しています。12月13日号の第2特集「建設業界も脱炭素サバイバル グリーン革新、自らの手で」では、環境技術の革新に本腰を入れ始めたゼネコンの動向を紹介しました。例えば、CO2を回収・固定した炭酸カルシウムを部材に用いる大成建設の「カーボンリサイクル・コンクリート」は、建物を建てるほど街にCO2を封じ込めます。普及が期待される木造建築も、全遺伝子情報(ゲノム)解析で強靱(きょうじん)な木を育成する段階から研究しています。
 日本の建設は地震などに備える防災を優先させて技術開発をしてきました。しかし、災害の多い日本固有の技術であったことは否めません。カーボンニュートラルは今や世界共通の課題です。ここで踏ん張って革新的な技術を生み出せば、やがて建設各社の国際競争力の強さになると見ています。
(日経ビジネス副編集長 江村英哲)