【メルマガ独自解説】
 「ワクチン打ったからといって感染しないわけじゃないし……。不安は不安だけど、それでも見に来たかったんですよね」。11月中旬に開かれたプロ野球クライマックスシリーズの会場には、こう話す女性の姿がありました。日常に戻りたいけど、完全に戻ってもいいものか。新型コロナウイルス感染症への警戒を完全には解ききれない、今の日本国内の空気感を表した言葉だと感じました。
 人流は戻りつつあるのに、国内の感染状況は全体として落ち着いた状況が続いています。そうしたなか世界保健機関(WHO)は11月26日、南アフリカなどで見つかった変異型「オミクロン型」を最も高い警戒レベルに分類。30日には感染例が日本でも初めて確認されました。重症化リスクなど詳しいことは分かっていませんが、感染拡大のスピードが「デルタ型」などと比べて速い可能性があるとの指摘もあります。かねて懸念されているコロナ「第6波」の始まりなのか、予断を許しません。
 12月6日号の特集「危機は去ったのか 緩む日本、コロナ第6波への戦略」では、北は北海道から南は沖縄まで、第6波の到来に神経をとがらせる国や自治体、医療機関、ワクチン・治療薬メーカーなどの動きを追いました。過度に恐れず、一方で気を緩めすぎず――。コロナ禍との向き合い方を改めて考える上での一助となれば幸いです。
(日経ビジネス記者 生田弦己)