【メルマガ独自解説】
 2002年1月に雪印食品の不正を告発した西宮冷蔵(兵庫県西宮市)社長の水谷洋一さんに会うのは3回目になります。白髪・長髪のいでたち。落ち武者をほうふつさせますが、パワフルな方で改めてそのエネルギーに圧倒されました。
 そして今回、どうしても会いたい人がいました。水谷さんの娘の真麻さんと長男の甲太郎さんです。12月6日号の第2特集「内部告発者たちの警鐘 企業に求められる姿勢とは」で紹介した通り、真麻さんは17歳のとき、自宅マンションの14階から飛び降り自殺を図り、下半身が動かなくなり、会話ができない状態になりました。
 「娘は汗が出るのがこれまでは肩だけだったのが、背中からも出るようになったんですわ。最近の明るい話題はこれぐらいや」と水谷さん。取材中、隣の部屋で寝る真麻さんが動いてベッドからタオルが落ちると、すぐに気が付いて駆け寄りました。台所に立ち、鍋を振る舞ってくれ、「おやじの鍋は最高ですよ」と甲太郎さん。これまで取材では見えなかった「父親」の姿がそこにありました。台所から子供たちを心配そうに見つめる優しい目が忘れられません。
 改正公益通報者保護法が2022年に施行されますが、法体制の不備も指摘されています。過去の内部告発者の生の訴えを、今こそ聞いてほしいと思います。
(日経ビジネス記者 小原 擁)