【メルマガ独自解説】
 大混乱の経営を続けてきた東芝が、また難路に差し掛かっています。今月12日に発表した、会社を3分割するという奇策に早くも賛否両論が渦巻いています。会社側のプランは、総合電機メーカーとして146年の歴史に幕を閉じ、インフラサービス、デバイス、資産管理(キオクシアホールディングス株と東芝テック株を保有)の3社に分けるもの。綱川智社長兼CEO(最高経営責任者)は「執行側が自信を持って提案した」と語るものの、株主からは異論が出ています。
 日経ビジネス取材班は、東芝株主である複数のアクティビスト(物言う株主)とも接触しました。会社側は米ゼネラル・エレクトリック(GE)の3分割路線にもなぞらえるものの、東芝とGEは体制が異なるとの意見が出ました。株価が過小評価されるコングロマリット・ディスカウントの解消についても、分割された企業の成長性が見えなければ絵に描いた餅になるとの見方でした。
 社内からも不安の声が出ています。東芝はラップトップ型パソコンやNAND型フラッシュメモリーをはじめ、世界初や日本初の製品を生み出してきました。イノベーションの源泉となってきた研究所は、3分割でどう機能や相乗効果を維持するのか不透明です。こうした現場の複雑な思いと裏腹に、上層部が伝統的に内紛を起こしやすい体質なのも課題です。取材班には今回、綱川氏の後任人事を巡る争いについて複数の内部文書が届きました。
 6年前に発覚した不正会計以降、東芝はいくつもの分岐点に立ってきました。11月22日号の特集「東芝解体」の後半では当時の状況を振り返りながら、著名弁護士や元金融庁長官などにもインタビューしています。経済安全保障を巡る東芝と株主の混迷については前国家安全保障局長に提言をもらいました。そして最後にアクティビストの歴史的変遷について分析。今後の日本企業にとって、東芝問題が決して対岸の火事ではないことを示唆しています。ご一読いただければ幸甚です。
(日経ビジネス記者 小太刀久雄)