【メルマガ独自解説】
 「働きやすいけれど、働きがいが感じられない」。こんな理由による転職が若い世代を中心に増えているのをご存じですか。一見するとホワイト企業なのに、実際に働いてみるとやりがいや成長が感じられない。こうした企業は「ゆるブラック企業」と言われています。11月15日号の特集「ゆるブラック企業 残念な働き方改革の末路」では、そんな現場の実態に迫りました。
 政府が働き方改革を本格化させて5年になります。関連法が順次施行され、長時間労働の是正が進みました。働き方改革という言葉も一般に定着し、柔軟な働き方も広がっています。一方で、ゆるブラック企業という言葉が登場しました。働き方改革が形だけの長時間労働の短縮にとどまっていると示唆しているかのようです。労働時間を増やさないために、新たなことにチャレンジせず、前例を踏襲した仕事ばかりをし続けた結果、嫌気が差してやりがいを失う人が増えているのではないでしょうか。
 私が働きがいについて話を聞いた同年代の20歳代の若手社員はいずれも、数年以内の転職を見据えていました。すぐに転職をしないとしても、同じ企業で働き続けようと考えている人はいませんでした。若年層の大半は、「成長できるか」「身に付くスキルはあるか」「次の仕事につながるか」といったことを念頭に置いて働いているのです。
 「労働環境が改善したら、今度は成長できないと文句を言う。ぜいたくなことだ」――。こんなふうに簡単に片づけてしまうのではなく、若者の本音に耳を傾けてはいただけないでしょうか。
(日経ビジネス記者 藤原明穂)