【メルマガ独自解説】
 キヤノン電子は精密機器や電子機器、光学機器の開発・生産を手掛けています。2020年12月期で見ればキヤノン向けの売上高が50.1%で、外部顧客向けが半分近くを占めるなど独自色が強い製造子会社です。
 売上高に対する経常利益率が10%前後で推移する高収益企業として知られる同社は、時間をかけて宇宙事業にもチャレンジしてきました。その結果、超小型人工衛星の事業に進出しているほか、民間発射場での小型ロケット打ち上げサービスの開始も視野に入れており、大きな注目を集めています。
 キヤノンで技術畑を歩んだ酒巻久氏が1999年に社長に就任したときのキヤノン電子の姿はまったく違っていました。当時は、キヤノンの部品や製品を製造するだけ。抱えていた累積負債などは合わせて300億円ほどもありました。社内の危機感は乏しく、典型的な「子会社気質」がまん延しているように見えたそうです。「正直言えば、左遷されたと感じた」(酒巻氏)というほどでした。
 酒巻氏には、キヤノンで果たせなかった「いつかは宇宙事業をやりたい」という夢がありましたが、社内を知るほどに資金繰りの厳しさと新事業に挑める人材の不足を痛感。まずは経営基盤の立て直しに着手しました。その手法は徹底したムダ取りと人材育成。一見すると地味な取り組みが組織を変える礎になりました。
 11月15日号の第2特集「宇宙事業進出のキヤノン電子 『製造子会社』から変貌 20年越しの改革が結実」では、社長を経て現在、会長を務める酒巻氏の20年以上に及ぶ経営改革の歩みを詳細に追います。ご一読いただければ幸いです。
(日経ビジネス シニアエディター 中沢康彦)