【メルマガ独自解説】
 家計に占める住宅費の割合は、毎月の手取り収入の3割程度が適切だといわれています。賃貸にしろ持ち家にしろ、住宅費は固定費になりますから、ボーナスや残業代などを含めた額で考えてしまうと、収入が減少した場合、家計が悪化してしまう可能性が高いからです。
 ですが、今回住宅ローンの取材を通して驚いたのは、ボーナスや残業代、退職金など不確定要素の高い収入を前提にして住宅ローン返済計画を立てている人がとても多いことでした。また、共働き世帯の増加により、夫婦の収入を合算し、その範囲で借りられるだけ借りて都心のマンションを買うケースが多いことも知りました。新型コロナウイルス禍は、こうしたローンの組み方をしていた人たちに試練を突き付けています。ライフプランは最悪の事態になっても対応できるように組むべきでしょう。
 一方で、社会変動が激しいこの時代、20年30年先を見通すのは難しいのも事実です。年功賃金や終身雇用という仕組み自体も揺らぎ始めています。長期でコツコツ……が基本だった住宅取得のあり方も変わらなければならないのではないか?というのが、今回の企画を思いついたきっかけでした。
 実際に取材してみると、担保としている住宅の資産価値に着目することで、住宅ローンの返済負担を軽減できないかという問題意識の下、動いている金融機関や不動産事業者が少なくないことも分かりました。しかし、実際に商品化できているものはまだ少ないのが現状です。何十年も先の土地や建物の「資産価値」を評価する仕組みが、日本では確立されていないからです。11月8日号の第2特集「長期・コツコツはもう古い? 変わる住宅ローンの常識」では、住宅ローンから垣間見える、日本の住宅政策の課題にも触れました。ご一読いただければ幸いです。
(日経ビジネス記者 武田安恵)