【メルマガ独自解説】
 日経ビジネス10月4日号の特集「上場とは何か」の取材で、上場企業がゼロの長崎県の企業を取材しました。長崎にはなぜ上場企業がないのか――。「長崎は、歴史的に和(日本)、漢(中国)、オランダの文化が混在した街。新しい世界を切り開こうとする心持ちの人も多いはずなのに。いろいろな分析はあるのですが、『和・漢・オランダ』の文字を拾って、本当のところは『わ・か・らん』といわれています」。長崎経済研究所の泉猛氏はこう笑います。
 長崎市は2018、19年の2年連続で、転出者が転入者を上回る「社会減」が全国最多数。上場企業がないことが、流出を招いているとの指摘は多くで聞かれました。「といっても……」と泉氏の話は続きます。「実は『上場したい』と語る若い経営者は多い。世代交代が進めば動きが出てくる」と見ます。長崎には、海洋技術に優れていて地域で光る企業も多いのです。
 上場企業がないということで、悲観的になりがち。ですが、一歩引いてみれば、将来への期待も膨らみます。非上場をあえて選んでいる大企業もあります。そうした多面性が長崎らしさなのかもしれません。多種類の具材を楽しめる長崎の代表料理、ちゃんぽんを現地でいただきながら、多様性について思いをはせました。
(日経ビジネス記者 小原 擁)