【メルマガ独自解説】
 日本最北の村である北海道猿払村(さるふつむら)は人口約2700人。どこにでもあるようにみえる静かな村ですが、実は村民の平均所得が突出して高いことで知られています。2020年度の自治体別の1人当たり所得ランキングでは東京の品川区や国立市を上回っています。
 高所得の理由は、国内有数の漁獲量を誇るホタテ漁にあります。猿払村漁業協同組合では漁場を4つに分け毎年、1区画に稚貝を放流して4年目に漁を行う「4輪採制」を導入。この漁法は、ホタテの取り過ぎを防いで生育も進み漁獲量を維持しやすい一方、大きな投資が必要。組合員がリスクを被る形で新たな漁法に取り組んだことが今につながっています。
 猿払村の成功に刺激を受けた周囲の漁協も4輪採制を次々に取り入れています。このため、現在ではホタテ漁の方法自体は周囲と差がありません。にもかかわらず、なぜ猿払村の平均所得だけが今でもこれほど高いのでしょうか。
 スペシャルリポート「品川区より所得が高い北海道猿払村、ホタテ漁『公平な組織』で活力」では、現地での徹底取材に基づき、高い平均所得を支えるもう1つの理由として、ユニークな組織づくりに注目し、詳しく分析しています。一連の取り組みは、組織のあり方、あるいは地域の未来を考える上で参考になる点がいくつもあります。
(日経ビジネス副編集長 中沢康彦)