【メルマガ独自解説】
 「田舎が嫌で土着的なコミュニティーも嫌で……。高校卒業と同時に街を離れたけれど、帰ってきて初めて良い場所だったと気づきました」。静岡県裾野市で家具店を営む鈴木大悟さんはこう話します。鈴木さんは家業を継ぐために地元へ戻ったUターン組。地域おこし活動を続けるうちに夢中となり、今では有志の街づくり団体で代表を務めるまでになりました。
 取材をしていて、ふと考えました。自分にとって「この街のために」と思えるほど愛着のある場所はどこだろうか。私自身は、親の転勤や自分の進学、就職でいくつかの街を転々としてきました。住んだ街それぞれに思い出があり、懐かしさがありますが、「街づくりに参加しますか?」と聞かれると、何だかハードルを感じます。それでも「もっと良い街になればいいな」という思いは嘘ではありません。
 9月13日号の特集「スーパーシティ 都市DXの光と影」は、街づくりに関するお話です。テクノロジーを活用した最先端の街づくりから、スーパーシティ構想をめぐる中央と自治体の確執まで、「都市とDX」をキーワードに街づくりの今を追いました。
 デジタル技術で便利になる生活、壮大な未来都市の計画――。こうした構想も住民の思いと結びついて、初めて意味あるものになります。地域おこしの総会に出なくても、今はオンラインで意見を伝えるなど、気軽に街づくりに携われる機会が増えています。地元ラブな方も、転勤族の方も、海外にお住まいの方も。自分が住む街や郷里を思い出し、「こんな街になれば良いな」と妄想しながら読んでいただければと思います。
(日経ビジネス記者 橋本真実)